結論から申し上げますと、出向社員は主任技術者になることはできません。国土交通省の通知では、専任技術者、主任技術者、経営事項審査の技術職員名簿で、雇用関係についての記載に微妙な違いがあります。工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどる主任技術者には直接的な雇用関係が必要であるとしていますが、専任技術者と経営事項審査の技術職員名簿では直接的な雇用関係までは求めていません。このため、直接的な雇用関係でない出向社員は、主任技術者になることはできないが、専任技術者になることができ、経営事項審査の技術職員名簿に記載することもできます。ややこしい話をしてしまいましたが、建設業者の皆さんは、出向社員を主任技術者として工事現場に配置しないように注意してください。

参考資料

1 専任技術者

2.専任技術者について(第2号)
(1)「専任」の者とは、その営業所に常勤(テレワークを行う場合を含む。)して専らその職務に従事することを要する者をいう。会社の社員の場合には、その者の勤務状況、給与の支払状況、その者に対する人事権の状況等により「専任」か否かの判断を行い、これらの判断基準により専任性が認められる場合には、いわゆる出向社員であっても専任技術者として取り扱う。

建設業許可事務ガイドライン 令和4年12月28日国不建第463号

2 主任技術者

二-四  監理技術者等(*)の雇用関係
建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等については、当該建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることが必要であり、このような雇用関係は、資格者証又は健康保険被保険者証等に記載された所属建設業者名及び交付日により確認できることが必要である。
(1)監理技術者等に求められる雇用関係
① 建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者等は所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要である。また、建設業者としてもこのような監理技術者等を設置して適正な施工を確保することが、当該建設業者が技術と経営に優れた企業として評価されることにつながる。
② 発注者は設計図書の中で雇用関係に関する条件や雇用関係を示す書面の提出義務を明示するなど、あらかじめ雇用関係の確認に関する措置を定め、適切に対処することが必要である。
(2)直接的な雇用関係の考え方
直接的な雇用関係とは、監理技術者等とその所属建設業者との間に第三者の介入する余地のない雇用に関する一定の権利義務関係(賃金、労働時間、雇用、権利構成)が存在することをいい、資格者証、健康保険被保険者証又は市区町村が作成する住民税特別徴収税額通知書等によって建設業者との雇用関係が確認できることが必要である。したがって、在籍出向者、派遣社員については直接的な雇用関係にあるとはいえない。

*「監理技術者等」には、主任技術者も含まれます。

監理技術者制度運用マニュアル 令和6年3月26日国不建技第290号

3 経営事項審査の技術職員名簿

審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があり、かつ、雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者(法人である場合においては常勤の役員を、個人である場合においてはこの事業主を含む。)とする。
また、雇用期間が限定されている者のうち、審査基準日において高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)第9条第1項第2号に規定する継続雇用制度の適用を受けているもの(65歳以下の者に限る。)については、雇用期間を特に限定することなく常時雇用されている者とみなす。

経営事項審査の事務取扱いについて(通知) 平成20年1月31日国 総 建 第 269 号 

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