富山県の建設業許可の手引きでは、専任技術者の実務経験証明書の確認書類に関する記載がありません。これに対し、関東地方整備局や神奈川県の許可の手引きでは、かなり詳細な確認書類の記載があります。申請者としては、手引きで確認書類として何を準備すればいいか分かるほうが助かります。
さらに、関東地方整備局や神奈川県の許可の手引きを見ると、 実務経験証明書の証明者が建設業許可を持っている場合は、許可通知書の写しだけで、工事実績を確認する書類の提出は必要ないようです。証明者が許可をもっていることを証明すればいいというのは、申請者にとっては大きな負担軽減です。
富山県の場合、各土木センターの建設業許可担当者の判断で専任技術者の実務経験の確認書類を決めているため、4つの土木センターで統一的な対応ができていないという問題が起きています。専任技術者の実務経験は、建設業許可の大きなポイントなので、明確なルールを手引きで記載したほうがいいと思われます。
令和5年1月に建設業許可で電子申請がスタートし、紙申請の対面審査もないので、許可の手引きに確認書類について詳しく記載する必要性はさらに高まっています。
参考
1 関東地方整備局の許可の手引き
(2)実務経験の内容を確認する資料
建設業許可申請・変更の手引き(関東地方整備局)
イ)実務経験証明書(様式第九号)を提出する場合
①証明者が許可を有している(いた)期間は、経験期間分の建設業許可通知書(写)
※許可を有している(いた)期間を確認できない場合は、②が必要になります。
②証明者が許可を有していない期間は、経験期間分の工事請負契約書又は注文書・請書のセット(写) (業種内容のわかるもの)が必要です。工事請負契約書又は注文書・請書のセットでないものは認められません。
ロ)指導監督的実務経験証明書(様式第十号)を提出する場合
①証明書の実務経験の内容欄に記載した工事すべての工事請負契約書又は注文書・請書のセット(写)
※証明書に記載した内容(発注者・金額・内容・経験年数)が確認できない場合は、経験として認められません。
※共同企業体(JV)で受注した工事の場合は、出資割合が確認できる協定書等も必要です。
2 神奈川県の許可の手引き
(5) 専任技術者の実務経験の確認資料
ア 申請する建設業種の実務に従事していたことの裏付資料
建設業許可申請の手引き(神奈川県)
●証明者が建設業許可を有していた(いる)期間
① 申請する建設業種の実務に従事していた裏付
・ 実務経験証明書(様式第九号)の左上余白欄に、許可行政庁、許可番号、許可業種、許可期間(最初~)を付記してください。
また、許可通知書の写し、許可申請書の副本の写しがあれば、添付してください。
・ 許可の期間内に経験年数がある場合には上記の記入で可。ただし、許可前及び許可失効後の経験年数も必要な場合は、その期間については、下記「証明者が建設業許可を有していない期間」の①の資料も必要です。
・ 備考欄に記入された許可の状況について、神奈川県知事許可業者の場合は台帳により、それ以外の許可業者の場合は、他行政庁に照会することにより確認します。その結果、許可業者であることが確認できなかった場合は、下記「証明者が建設業許可を有していない期間」の①の資料が必要になります。
② 在籍していた期間の裏付
・ 下記「証明者が建設業許可を有していない期間」の②と同じです。
●証明者が建設業許可を有していない期間
① 申請する建設業種の実務に従事していた裏付
次のa、bのいずれかを必要年数分添付してください。
a 申請業種が明確に判断できる工事請負契約書、工事注文書、工事代金請求書の控え又は工事請書控えの写し(工事代金請求書の控え又は工事請書控えの場合は、対応する入金確認資料を併せて添付)を、証明する期間各年1件以上※ 見積書、納品書のみでは認められません。
※ 当時の書類の写しであることが必要です。(申請のために復元した書類、後日注文者が内容を証明した書類は認められません。)
原本が電子データで、パソコン等で当時の電子データ(注文書等)を印刷したもの、また、FAXで送付された注文書等で当時の注文者の印がないものについては、入金確認資料を併せて添付してください。
3 建設業許可事務ガイドライン
②専任技術者に係る許可要件の確認
建設業許可事務ガイドライン 平成13年4月3日国総建第97号
専任技術者に係る常勤性の確認については、例えば健康保険被保険者証カードの写し若しくはこれらに準ずる資料の提出又は提示を申請者等に求めることにより行うものとする。また、実務経験年数を確認することができる書類を求める場合、確認のための書類については、建設業の許可通知書、請負契約書、健康保険被保険者証カードの写し等が考えられるが、特定の書類だけに限定する必要はない。