事業承継等の事前認可制度とは

改正以前の制度では、建設業者が事業譲渡・合併・分割を行う時には、従前の建設業許可を廃業するとともに、新たに建設業許可を新規申請し直す必要がありました。この場合、廃業日から新たな許可日までの間に、軽微な工事以外の工事を請け負うことができない空白期間が生じていました。本改正により、事業承継を行う場合はあらかじめ事前の認可を受けること、相続の場合は死亡後30日以内に相続の認可を受けることで、空白期間を生じることなく、承継者及び相続人が、被承継者及び被相続人の建設業者としての地位の全部を承継することが定められました。

承継者は被承継者の建設業者として地位を引き継ぐことができるようになったので、承継者は被承継者の許可番号を引き継ぐことが可能になりました。

改正前は、新規申請となるので、許可手数料がかかりましたが、この事前認可制度を利用した場合、許可行政庁の手数料はかかりません。

制度の概要

法人成り

個人事業主が法人化する際も、形式的には「事業譲渡」にあたります。建設業法上は、新たに法人で許可を取得するのではなく、個人から法人へ許可を承継することが可能です。

ただし、承継の前に「承継認可申請」を行う必要があります。

これは法人間の事業譲渡と同様に承継制度の対象ですが、申請区分や提出書類の要件は異なるため、注意が必要です。法人成りを予定している場合は、承継予定日よりも前に、各自治体や行政書士などの専門家と連携し、適切な手続きを確認しましょう。

譲渡及び譲受け(法人成りを除く。)

合併

吸収合併

定義

会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう(会社法2条27号)

効力発生日

吸収合併契約の効力発生日

新設合併

定義

二以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものをいう(会社法2条28号)

効力発生日

新設合併設立会社は、その成立の日に、新設合併消滅会社の権利義務を承継する。(会社法754条)*成立の日とは、本店所在地において設立の登記がされた日です。

分割

吸収分割

定義

株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割後他の会社に承継させることをいう(会社法2条29号)

効力発生日

吸収分割契約の効力発生日

新設分割

定義

一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう(会社法2条30号)

効力発生日

新設分割設立会社が、その成立の日に、新設分割計画の定めに従い、新設分割会社の権利義務を承継する。(会社法764条)*成立の日とは、本店所在地において設立の登記がされた日です。

相続

個人事業主が死亡した場合、その事業を相続人が引き継ぐ際にも建設業許可の承継が可能です。ただし、相続が発生した日から30日以内に所定の認可申請を行わないと、許可は失効します。

関係資料:関東地方整備局

国土交通省関東地方整備局