健康保険証のマイナ保険証への移行に伴い、標準報酬決定通知書が健康保険証の代替になるようです。資料1は、北陸地方整備局が標準報酬決定通知書を提出する場合にマスキングを求める資料です。
富山県の場合、専任技術者や経営管理責任者の常勤確認は出先の土木センターの対面審査での確認書類の「提示」になります。資料2の厚労省の事務連絡では、「被保険者証の提示を受ける場合には、当該被保険者証の被保険者等記号・番号等を書き写すことのないようにすること。」とあり、被保険者等記号・番号等を書き写すことがなければ問題がないように思われます。このため、富山県は建設業許可の手引きに健康保険証や標準報酬決定通知書のマスキングに関する記載をしなくてもいいと判断されたのかもしれません。しかし、資料2の事務連絡では、「当該被保険者証の写しをとる際には、当該写しの被保険者等記号・番号等を復元できない程度にマスキングを施すこと。」とあり、対面審査で健康保険証等の写しを提示する場合は、マスキングが必要になります。また、電子申請の場合、健康保険証等の確認書類はPDFファイルで添付しますので「写しの送付」になり、やはりマスキングが必要です。
私の理解では、富山県の手引きでマスキングに関する記載がないこともあり、建設業許可や経営事項審査の手続きで健康保険証等のマスキングは行われていないと思います。マスキングしない健康保険証等で雇用確認を行うことは、健康保険法等の「告知要求制限」規定に抵触します。さらに、保険証等のマスキングはかなり一般に周知されたルールですので、行政書士がお客様の会社の社員の健康保険証や標準報酬決定通知書をマスキングしないで写しを取るとお客様に不信に思われる恐れがあります。マスキングは煩雑なのでないのはありがたいのですが、一般的に行われている健康保険証等のマスキングを建設業許可や経営事項審査で行わないのは、あまり良くない面もあります。富山県が適切な対応をとることを期待します。
資料1 北陸地方整備局

資料2 厚生労働省(令和2年7月8日事務連絡)医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について
2 本人確認等のために被保険者証の提示等を求める際の留意事項について
1に掲げる記号・番号等については、各医療保険制度における被保険者証に記載がなされている。今後も、本人確認等のために被保険者証の提示を求めることは可能であるが、告知要求制限に抵触しないよう、以下の点に留意いただくようお願いする。
・ 被保険者証の提示を受ける場合には、当該被保険者証の被保険者等記号・番号等を書き写すことのないようにすること。また、当該被保険者証の写しをとる際には、当該写しの被保険者等記号・番号等を復元できない程度にマスキングを施すこと。
・ 被保険者証の写しの送付を受けることにより本人確認等を行う場合には、あらかじめ申請者や顧客等に対し被保険者等記号・番号等にマスキングを施すよう求め、マスキングを施された写しの送付を受けること。また、被保険者等記号・番号等にマスキングが施されていない写しを受けた場合には、当該写しの提供を受けた者においてマスキングを施すこと。
・ 被保険者等記号・番号等の告知を求めているかのような説明を行わないこと。例えば、ホームページ等において、「被保険者証の記号・番号が記載された面の写しを送付してください」といった記載を行わないよう留意すること。
資料3 健康保険法
(被保険者等記号・番号等の利用制限等)
第百九十四条の二 厚生労働大臣、保険者、保険医療機関等、指定訪問看護事業者その他の健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため保険者番号及び被保険者等記号・番号(以下この条において「被保険者等記号・番号等」という。)を利用する者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「厚生労働大臣等」という。)は、当該事業又は事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。
2 厚生労働大臣等以外の者は、健康保険事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者等記号・番号等の利用が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者等記号・番号等を告知することを求めてはならない。
資料4 宮城県ホームページ
