令和2年10月から、適正な社会保険加入が建設業許可の要件となりました。建設業許可を受けた業者は社会保険への加入が義務化されました。
これに対し、社会保険の事業主負担分の法定福利費などの経費を削減するために、技能者を独立させて請負契約を結びながらも、実際には直接指示・命令を下して労働者と同じ待遇で労働をさせる、偽装一人親方が問題になっています。
国土交通省の資料では、「偽装請負の一人親方として従事している技能者も一定数存在」するとし、「法定福利費等の労働関係諸経費の削減を意図して、偽装請負としての一人親方化を進めることは、技能者の処遇低下のみならず、法定福利費等を適切に支払っていない企業ほど競争上優位となるなど、公正・健全な競争環境を阻害するのみならず、社会保険加入対策の根幹を揺るがす重要な問題」としています。国土交通省は一人親方と会社の請負契約は「偽装請負」としており、建設業法に違反する行為です。偽装請負は労働基準法にも違反するとされています。
一人親方の建設業許可申請は増えています。偽装一人親方が判明すれば、建設業許可の取消しの可能性があります。偽装一人親方問題は行政書士にとっても無関係な問題ではありません。今後の国のこの問題への対応が注目されます。
資料 一人親方問題の論点について 国土交通省
